[熊本地震]ITの果たした役割と課題
2016.04.25



10日が過ぎ震度5以上がようやく落ち着いた感がある熊本地震。
想像を絶するほど震度5以上が多く、これまでの認識を新たにせざるを得なかった。
有感地震870回以上におよびグラフがこれまでみことが無い異常な曲線を描いている。

しかし今週に入り一部小学校も再開されボランティアの受付も開始。
ようやく地震整理のターンへと移る様相を呈してきたに思う。
整理後、復興のスタートラインに入ったとしても、はかなりの年月を要しそうだ。


今回はIT面での東日本大震災における経験が活きたに感じる。

無料Wi-Fiが半日でオープンになったし、Googleの災害情報マップとトヨタのカーナビによる「実際に通れた道」はかなり貢献したような感覚があった。他に素早い通信インフラの一時的無料化や情報の拡散等、民間での活動は心強いものだった。逆に官の動きは非常に鈍く、混乱が大きい印象で、これがあの、阪神淡路大震災や新潟中越地震、そして東日本大震災を迎えた国なのかと改めて驚く。


ITの果たした役割

非常に大きく心強いものだったが同時に一つ事実を浮き彫りにした感もある。
意外にほとんどの人はITを使えていない点だ。携帯やスマホを使っても、自分の使う機能以外には全く頓着しておらず、結果少々の変化球が来ると「出来ないもの」と認識しており、挙句に外からのサインに対して素直に受け入れらない人が多いと感じた。

何せ災害伝言ダイヤル171すらほとんどの人が知らず、ましてやWeb171は言うに及ばず。
私の親戚や友人はただの一人も171を利用しなかった。
シンプルで優れた安否確認手段があってもそれを知らないのでは意味がない。

無料化されたWi-Fiも知人曰く「意味がわからなかった」と自分とは関係ないことと思っていた。
結局「電話」に頼っていた点で、せいぜい役に立ったと思われるのは携帯の「ショートメール(SMS)やロングメール(MMS)」だった。
どうやら e-mail はガラケーで受信できないと勘違いしていたり、受信出来ることは知っていても、e-mailの迷惑メールが鬱陶という理由からデフォルトでサーバー側で拒否にしている為に、その解除方法も知らない、利用出来ないと思い込んでいる。


ただこれらは不幸中の幸いな面も

様々なデマや流言がネット上に流れ、ネットリテラシーが多少なりともある人にとっては、ほとんどのものデマであることは確認するまでもない事だったに思うが多くの人が踊らされたという事実がある。これらはある程度の訓練と慣れで見分けることは可能だが、その道は決して簡単ではないようだ。わからない人にとってはわからないものであるから。東日本大震災時に両親に171の存在を伝え、覚えておいた方がいいよと言うと、「もうこんなことは起きないから大丈夫よ」と天下泰平である。そればかりか3秒後には忘れている。浸透させることの難しさを体感した。今回もLINEやSkype、ハングアウト等を使えればWi-Fi解放後に直ぐに連絡がとれたはずだが、多少なりともパソコンを使って仕事をしている者ですら意味を理解していなかったのには驚いた。皆が自分が使うアプリの使う機能しか理解していないのだ。それでいて、わからないにも関わらず聞く耳持たない。これは現代人が既に何かを受け入れる余地がないほど余裕がないのだと感じる。


ITのみに頼らないネットワークづくり

やはり人は人として人の繋がりをもってことにあたるシステムは欠かせない。親族間だけでもメーリングリストの認知を働きかけてみたが、話し始めの10秒で ( ゚д゚) としている。つまりスタートすら切れないほど理解は遠い。
ここで思ったのは、人がシステムに合わせるのではなく、人に合わせてシステムを使い分ける必要が明確になった感がある。わからい人には昔ながらの「連絡網」的な対応で処置し、ITで共有認識出来る人にはそれで周知する。そういった柔軟性が必要に思えた。実際に歳をとりだすとわかるが、驚くほどインプットが弱くなる。結局のところ、人間力さえあれば時代がどう変わっても対応出来るものと改めて感じた。

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